January 31, 2006. No.45
迎春
1月1日.松本幸四郎のスペイン纪行をテレビで见た.长い间ラ·マンチャの男を演じながら,これまで一度としてセルバンテスの土
地を访ねたことがなかったと言う.2005年夏,マドリッドの広场に立つドン·キホーテとサンチョ·パンサの像を眺め,その背后に座す セルバンテスの像を眺めながら幸四郎の目から一滴の涙が頬を伝って流れた.その心の内に帰来する思いの深さに感动を覚えた.1605 年, 『ドン·キホーテ』が生まれてから400年の歳月が流れ,圣书に次ぎ2番目に翻訳されているというこの古典の重みと普遍の力を幸四 郎は自らの体を通じて表现し続けてきたのだ. マドリッドでは幸四郎一家はカサ·ボティンで昼食をとる. 『日はまた升る』でジェイクとブレットが食事をしたレストランだ. 「ぼ くらはボティンの二阶で食事をした.そこは世界で最高のレストランのひとつだった.ぼくらは子豚の丸焼きを食べ,リオハ·アルタ を饮んだ.ブレットはあまり食べなかった.いつも小食だった.ぼくはリオハ·アルタを3本も饮んだ」と记している.幸四郎たちもま た子豚の丸焼きに舌鼓を打ち,美味を堪能したようだ.幸四郎とヘミングウェイが时间を超えて,こんな风に交错することの妙が面白 かった. 幸四郎はマドリッドを后にして,トレドを経て,さらに南に空漠たる荒凉とした风景が広がるカステリア地方を旅する.ふと,自分 もまたそんな风にしてヘミングウェイの足迹を访ねて旅を重ねてきたことが重なり,文学とそれを生みだした者への思いを知らず知ら ずの内に反刍していた. 幸四郎は自らがドン·キホーテとなってセルバンテスの内的世界を舞台で演じ続けて36年の歳月を过ごしてきた.あのような伟大な 役者と自分とを比较したり并べたりすることはできないが,私のヘミングウェイの文学との出会いとその后の歳月はそれに匹敌するほ ど长い.最初に『老人と海』を読んだのが1958年,15歳の春.Sheldan Grebsteinの授业を受けたのが,それから15年,1973年の秋のこ とであり,以来,30余年,ヘミングウェイと向き合う多大な时间が流れた.
1990年,ペトスキーでのミシガン·ヘミングウェイ学会主催の大会に参加し,そのときに初めてヘミングウェイの数々の短编を生ん
だ北ミシガンを访ねた.ヘミングウェイが刻んだ文字が作りだした风景がそのまま眼前に広がる様を见たとき,私はただ圧倒され,呆 然と立ちつくした.涙することもなく,言叶もなかった.别荘も森も湖もインディアン集落に続く草深い道もみなそこには确かな事実 として存在していた. 以来,私はヘミングウェイの世界を自らの目で确かめ,自分の足でその足迹を访ね歩くことになった. 今年はヘミングウェイ国际学会がロンダで开催されることになっている.その主催の任をCarl Ebyが担当している.かつて1992年の パンプローナでのヘミングウェイ国际学会のときに右隣に座って,同じパネルで発表した新进気锐の博士课程の院生だった.司会は
Jackson Bensonで共通テーマは"Moral Conicts".私の左隣はMark Spilka,さらにその隣にDonald Jenkinsがいた. 今年の大会は6月末の学期の最中ではあるが,彼らとのスペインでの再会を楽しみにしつつ,ヘミングウェイが最晩年,凭かれたよう
に闘牛を追い求めたマラガとロンダ,その背后に広がるアンダルシア地方の风景をゆっくりと眺めてみたいと思っている.それはヘミ ングウェイに「凭かれた者」の使命であり,ありがたい特権でもあるように思う.日本からも今年は国际学会に参加を予定している会 员が少なからずいるという.异国での出会いもまた楽しみである. 日本ヘミングウェイ协会会长今村楯夫
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第16回全国大会,盛会のうちに终了!
日本中が时ならぬ大寒波に袭われる丁度1周间前の平成17年12月10日,11日の両日,クリスマス·ツリーが美しい东京女子大学におい て第16回全国大会が开催されました.研究発表,シンポジウム,ワーク·イン·プログレスにおよそ50名の参加者がありました.いず れも议论百出.时间を超过して质疑応答が缲り広げられました. 初日の夜は西荻洼駅近くの居酒屋のフロアを借り切っての恳亲会.30名ちかい参加者で盛り上がりました.二日とも天気に恵まれ, 学ぶことの多い有意义な学会でした.発表者と司会者のかたがた,お疲れ様でした. 大森昭生氏作成のポスターはいかがでしたでしょうか.ご意见をお寄せいただければ有难く存じます.次回の第 17回大会がさらに豊 かなものとなるよう,皆様のご协力をお愿いします.

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