ISSN0286-312X
専修大学社会科学研究所月报
三木清の东亜协同体论
No. 508 2005. 10. 20
内田
弘
(1) 三木清の东亜协同体论 三木清の东亜协同体论は,通常考えられているような地政学的な概念ではありません.彼の 东亜协同体论は,同时代の地政学的な问题枠を打破し,诸个人诸民族が国民国家を超えて,そ れぞれの固有性を生かし対等に相互に补完しあって连锁する「世界」を构筑しようとするヴィ ジョンです.三木清の同时代は,あらゆる资源を総动员する技术支配体系が地球规模で展开し 始めています.彼はその「グローバル·テクノクラシー」とでもいうべき事态に,それを超え る自由な个性者の世界を形成する现実的可能性が孕んでいるのではないかと推察しました.三 木清はその可能性を,资本主义论·中国近代化论·帝国主义论·民族论·日中文化交流史论· 日本主义イデオロギー论·协同社会论·他者论·构想力论·知识人论·文化(政策)论·学问论 という多くの角度から探求しています. 三木清の东亜协同体论は彼固有の存在论に根拠づけられています.彼には,事物は互いに他 の要素を含みあう补完関系を结び多様な个性をなしているという固有の存在论があります.例 えば,三木清が生涯の主题として探究した歴史哲学は技术哲学に根拠づけられ,技术哲学は歴 史哲学がささえています.技术哲学に根拠づけられた歴史哲学は,歴史哲学の究极としての宗 教哲学に向かう使命(规定性)があります.彼の宗教哲学的処女作『パスカルに於ける人间の研 究』(1926 年)は『歴史哲学』(1932 年)を生み, 『歴史哲学』は『技术哲学』(1941 年)を要求し ました. 『技术哲学』のあと,宗教哲学的研究遗稿 亲鸾(1944-1945 年)が执笔されます.そ れぞれの研究は他の研究と连锁し円环を结びます. さらに例えば, 『歴史哲学』から「遗稿 亲鸾」までとほぼ同じ时期に执笔された『构想力の 论理』(1937-1943 年)の「第 1 章 神话」「第 2 章 制度」「第 3 章 技术」も,他の要素を含 · · み合う存在です. 「神话」は,魔术という形で「技术」の原始形态を内部に含み,祭仪という仮 构に「制度的机能」を含んでいます.逆に, 「技术」は,魔术に起源をもち, 「技术」は「制度」 になって现実に机能します.第 4 章 経験は「神话·制度·技术」という现象诸形态を深部の 构想力から根拠づけるものですし,逆に,その相互补完関系にある现象诸形态は,构想力その - 1 -
ものを具象的に示すものです.三木清は同じ相互补完的存在论の视点から东亜协同体论を展开 しています(内田 2005 参照) . 三木清が本格的に「东亜协同体」を最初に论じたのは,卢沟桥事件の翌年,1938 年 11 月に 公表した论文「日支を结ぶ思想」[『三木清全集』第 14 巻 185-190 ページ.以下(14:185-190) と略记]です.つづけて同年 12 月に発表した论文「东亜思想の根拠」 (15:308-325;1938 年 12 月) では东亜协同体をより详细に论じています. 尾崎秀実も翌年(1939 年)1 月,『东亜协同体』 の理念とその成立の客観的基础を公表しました. 三木清は东亜协同体论を知性问题·知识人问 题に関连づけています.彼がほぼ同时に発表した论文「知性の改造」(14:191-216;1938 年 11 月 12 月)では,万物を商品化する资本主义の思想的原理である自由主义と,それに対抗して反 知性的·ロマン主义的倾向をもつファシズムの両方を超えるヴィジョンを东亜协同体 (14:211)として提示しています.三木清にとって,东亜协同体论は知性改造を前提にしていま す.知识人の文化主义的な特権意识を克服して,新しい知识人像を构想し実现する问题でもあ ります. 「新しい型の知识人」(14:584)は知性と直観との根源的统一における构想力の论理 (14:199)を駆使する技术的知识人(テクノクラート)です. 构想力论は三木清が 1931 年の満洲事 変に刺戟を受けて着想したものです(内田 2005 参照).彼は 1938 年 2 月以降, 『构想力の论理』 と平行して东亜协同体论を执笔しています.したがって,三木清の东亜协同体论は构想力论と 共に満洲事変という同じ起源をもち相互に补完しあっています. 三木清は満洲事変(1931 年) 卢沟桥事件(1937 年)と日本帝国主义の中国侵略が拡大する过程 · で出てきた北支イデオロギーとか満洲イデオロギーとかいった用语に対して, 日本が现在 必要としているのは地域的ではない世界的な思想である.この场合世界的とは単に地域的な広 さをいうのでない.これを単に地域的にしか考えないのは旧いインターナショナリズムのこと である(19:709)と批判しました. 三木清は, 东亜协同体の形成は世界史的必然性をもっている, といいます.その必然性は世界史的课题に存在しています.中国は「辛亥革命」(1911 年)に挫 折して半封建的半植民地的な状态にありました.中国は,国民党のめざす资本主义か,それと も共产党がめざすソヴィエト型社会主义か,という路线闘争の最中にありました.三木清は, 自由主义·ファシズム·共产主义が三つ巴になって争っている当时の世界情势のなかで,中国 の将来はそのいずれにもないだろう,とみていました.彼は,英米型资本主义でもなく,ファ シズム的全体主义でもなく,いわゆるソヴィエト型社会主义でもない社会をめざす歴史的方向 を探究していました. 三木清の东亜协同体概念は当时の地政学的ニュアンスをもつ东亜(子安 81)に限定された局地的な概念ではありません. 彼は, 东亜协同体论の支配的な地政学的概念を 歴史哲学的概念に再定义し=意味転换し,多様な个性者が対等に民族を构成し,多様な民族が 対等に一つの「世界」を构成するというヴィジョンのもとに东亜协同体を构想しました.それ - 2 -
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